「50年目の伝言」ー多摩川水害ー

アルバム 濁流に消えたマイホーム

 「まさか家が流されるなんて……」

 狛江市猪方。やさしく包むように流れる多摩川べりの住宅で、木村将英(64)さんが50年前の「あの日」を振り返る。
 1974年9月1日。多摩川は増水していた。台風16号の影響で首都圏周辺は記録的な豪雨に見舞われ、上流の小河内ダムが貯水限界量を超えて放水。川は濁流となって盛り上がっていた。
 将英さんは当時中学3年生。この日の午後2時ごろ、2階の部屋で受験勉強中に、二ケ領宿河原堰とつながる小堤防の先端が崩れた直後を目撃した。1階に下りて両親に告げると、父親の昭久さん(当時47)はすぐ愛用のカメラで、河原から渦を巻く濁流に向けてシャッターを切った。カメラ好きの昭久さんは、ことあるごとに家族の写真を撮っていた。
 午後6時すぎ避難命令が出る。3歳上の姉や両親と家族4人で狛江第二中学校に避難したが、将英さんにまだ切迫感はなかった。「2階まで水がくることはないだろう」
 だが、濁流は本堤防の土をえぐって半円状に決壊させ、猪方の住宅地を襲う。翌2日未明から住宅は濁流にのみ込まれ始め、午前1時すぎ、木村家のマイホームも流出。玄関のたたきだけが残された。家が傾き、濁流に消えるまでわずか5分だった。
 避難所で市収入役から最悪の結果を聞いた昭久さんは、茫然とした表情で将英さんらに告げた。「家が流されたそうだ」
 マイホームは2階建て。55年に構えた平屋建てが手狭になり、昭久さんが10年間、爪に火をともすように倹約してためた資金で72年夏に新築したばかり。被災直後、昭久さんは仮住まいの都営狛江アパートで週刊朝日の取材に答えた。「精も根も尽き果てました」
 それでも、1年後には同じ場所にマイホームを再建した。「失意のどん底からローンを抱えながらよく頑張ってくれたな」と将英さんは父親の苦労をしのぶ。
 被災後、昭久さんは家族の思い出が刻まれた写真の束を下流から発見。流出した自宅の屋根も下流の河原に漂着していた。この屋根のシーンは、山田太一さん原作・脚本のテレビドラマ「岸辺のアルバム」(77年放映)の最終回に登場する。
 あの未曽有の水害から半世紀。岸辺の人たちは今、穏やかに暮らす。だが、将英さんは自戒を込めていう。「おとなしい多摩川がいつ〝怒る川〟に変身するか、だれにもわからない」

 佐藤清孝(元新聞記者)
 堤防が決壊し、19棟の家屋が流出した多摩川水害から今年で50年。関係者の教訓を毎月、「伝言」として紹介する。

木村 将英さん

 自然は信じられない力で牙をむく。それは、今年の能登半島地震でも改めて実感させられました。50年前の多摩川水害の時には、家が流されるなんて誰も思っていなかった。2019年の台風19号では多摩川が増水し、狛江市で大きな被害(床上・床下浸水計約301棟、448世帯)があり、避難勧告も出ました。やはり日々の備えが大事です。懐中電灯や飲料水、非常食の用意・点検を怠ってはいけません。日本は災害列島なのですから。

多摩川水害

 1974年9月1日、台風16号の影響で多摩川が増水。狛江市猪方地区に設置された農業用の取水堰「二ケ領宿河原堰」に水がぶつかって発生した迂回流が左岸の堤防を約260㍍にわたって壊し、3日までに家屋19棟が流出。住宅が次々と流されていく衝撃的な光景がテレビ中継され、この水害を背景に家族の崩壊と再生を描いたテレビドラマ「岸辺のアルバム」も話題を呼んだ。

 


5月の市民相談

相談名 開催日・時間 相談員 申し込み等
法律相談 毎週月・木曜日
午前9時~午後0時10分
弁護士 事前予約制
(相談日の2週間前から秘書広報室で受け付け)
※夜間相談は相談当日の午後4時まで受け付け。
相続相談 7日(火曜日)・21日(火曜日)
午後1時~4時10分
行政書士会
調布支部
夜間相談 14日(火曜日)
午後6時~7時50分
行政相談 17日(金曜日)
午後1時~4時10分
行政相談委員 事前予約制
(1日(水曜日)から秘書広報室で受け付け。
空きがあれば当日も受け付けます)

※夜間相談は相談当日の午後4時まで受け付け。
※行政相談は15日(水曜日)まで受け付け。
※通訳を希望する方はご相談ください。
交通事故相談 21日(火曜日)
午前9時30分~正午
弁護士
土地家屋調査
測量表示登記相談
23日(木曜日)
午後1時~4時10分
土地家屋調査士会
不動産取引相談 14日(火曜日)
午後1時~4時10分
宅地建物取引業協会
登記相談 13日(月曜日)
午後1時~4時10分
司法書士会調布支部
夜間相談 27日(月曜日)
午後6時~7時50分
労働相談 17日(金曜日)
午前9時~午後0時10分
社会保険労務士会
武蔵野統括支部
税務相談 9日(木曜日)
午後1時~4時10分
東京税理士会
武蔵府中支部
※会場は東京税理士会武蔵府中支部 毎週木曜日
午前10時~正午、午後1時~4時
事前予約制
電話042(319)2825
人権身の上相談 16日(木曜日)
午後1時~4時
人権擁護委員 事前予約制
(市ホームページから専用フォーム、
または電話で政策室へ)
女性のための
カウンセリング
1日(水曜日)・8日(水曜日)・22日(水曜日)
午前9時~正午
カウンセラー
こころの
カウンセリング
15日(水曜日)
午前9時~正午
カウンセラー
消費生活相談 月~金曜日
午前9時~正午、午後1時~4時
消費生活相談員 地域活性課へ
(午後3時まで受け付け)
更生保護相談 28日(火曜日)
午前10時~正午、午後1時~3時
保護司 第一市民相談室へ
介護保険苦情相談 13日(月曜日)・20日(月曜日)
午後1時~4時
介護保険苦情相談員 福祉総合相談窓口へ
生活困窮の相談 月~金曜日
午前8時30分~午後5時
生活困窮者
自立支援相談員
福祉総合相談窓口こまYELLへ
こころの健康相談室 23日(木曜日)
午後1時30分~4時30分
精神科医師 事前予約制
(福祉相談課で受け付け)
住まい探しの相談 7日(火曜日)午前10時~正午
※次回は6月4日(火曜日)(受付中)
日本地主家主協会 事前予約制
(福祉政策課で受け付け)
ひとり親相談 月~金曜日
午前8時30分~正午、午後1時~5時
専門相談員等 事前予約制
(子ども若者政策課で受け付け)
女性相談
若者相談 14日(火曜日)午前9時~正午 公認心理師等
22日(水曜日)午後2時~5時
教育相談
(電話相談)
月~金曜日
午前9時30分~午後5時15分
教育相談員 教育支援センター
電話(3430)1411へ
健康相談 9日(木曜日)・23日(木曜日)
午前10時~正午
保健師、栄養士 直接2階フロアーへ
年金相談 毎週月・水・金曜日
午前9時~正午、午後1時~4時
社会保険労務士 保険年金課へ
(午後3時30分まで受け付け)
シルバー人材センター
入会相談
13日(月曜日)午後1時~4時30分 狛江市シルバー人材センター 電話(3488)6735
※電話予約制